
ラジオ日本「わたしの図書室」では6月11日と18日の2週連続で、芥川龍之介の傑作短編2篇+αを朗読する。いずれも文壇で注目された「鼻」と同じ1916年(大正5年)、芥川の若き才能がぱっと花開いた瞬間の作品である。
【6月11日放送:ヘビースモーカーの芥川龍之介が描く「煙草と悪魔」】
煙草を日本に広めたのは悪魔だった!? かのフランシスコ・ザビエルにくっついて、修道士に化けてやってきた悪魔が、退屈しのぎに栽培したのが、日本における煙草のはじまり。美しく花を咲かせる見慣れぬ植物に興味を持ったのは、通りがかりの牛商人。悪魔はあわよくば牛商人の体と魂を奪おうと、巧妙な手口で賭けを挑む……。
実は、芥川自身が1日に180本も吸っていた超ヘビースモーカーだった。「河童」や「或阿呆の一生」など多くの作品にもたびたび煙草が印象的に登場している。親しかった作家の佐藤春夫は、芥川の追悼文の中で、「大きな火鉢のぐるりには吸殻が林立し気が付いて見ると部屋には煙が立籠め」ていたと、その思い出を語っている。この日は、その煙草がちらりと登場する超短編「鬼ごっこ」も同時に朗読する。
【6月18日放送:子を亡くした母親の手に握られた1枚のハンカチ「手巾」】
芥川龍之介が、出世作「鼻」に次いで、一流作家としての地位を固めた作品ともいえるのが「手巾(ハンケチ)」。ある大学教授を、最近病死した学生の母親が訪ねてくる。息子の最期を語りながら、涙ひとつ見せない母親。しかし、膝の上に置かれたハンケチを固く握った両手は、哀しみをこらえて激しく震えている……。日本女性の武士道と、ストリントベルクの作劇法(ドラマトウルギー)を重ね合わせた一ひねりが芥川らしい作品。また、三島由紀夫はこの「手巾」を「短編小説の極意」と絶賛した。
【放送内容】 木曜日 夜11:30~12:00
6月11日 芥川龍之介「煙草と悪魔」「鬼ごっこ」
6月18日 芥川龍之介「手巾」
朗読 日本テレビアナウンサー・井田由美
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