ラジオ日本「わたしの図書室」では12月11日・18日の2週にわたり、
山本周五郎の『日本婦道記』シリーズから「小指」を紹介。
格式高い武家の跡取り息子。その婚姻をめぐる物語。

【山本周五郎の「日本婦道記」とは】
『日本婦道記』は、山本周五郎が武家の厳しい定めの中で、夫や子供たちのために身を捧げ、強く生き抜いた女性たちの姿を描く31編からなる連作短編集。1942年(昭和17年)に雑誌「婦人倶楽部」で企画された時、まず「松の花」「梅咲きぬ」「箭竹」の3作品を執筆した。
今回お送りする「小指」は、1946年(昭和21年)に発表され、翌年、短編集『糸ぐるま』に収められた。この短編集には『続・日本婦道記』というサブタイトルがついていたため、現在、「小指」は『日本婦道記』に含められている。全31作品、いずれも名作。
また、『日本婦道記』は、1943年(昭和18年)の直木賞に選ばれたが、周五郎が辞退したという話は有名。以後、周五郎は一切の「賞」を辞退し、孤高の作家として生きた。
【「小指」を堪能する】
「小指」のテーマは武家社会における身分違いの結婚。主人公の若き武士・山瀬平三郎は、川越藩で書物番を務めている。一人息子として育ったせいか、どこかおっとりしていて「放心癖」がある。平三郎のぼんやりから生まれる小さな失敗は、身の回りの世話をする小間使いの八重がそっとたしなめ、補っていた。
ある日、平三郎は、武家の娘と見合いをし、相手の顔もろくに見ずにその縁談を承知してしまう。しかし、見合いから3日目の朝、平三郎は、はっと気づく。自分がほんとうに愛していたのは、誰だったのかに……。題名になっている「小指」は、もちろんこの物語のキーワード。さて、誰のどんな小指なのか、朗読をお楽しみに。
【放送内容】
12月11日・18日(木)23:30~00:00
朗読作品:山本周五郎「小指」
朗読:井田由美(日本テレビ・アナウンサー)
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