早逝の天才作家・梶井基次郎の永遠の名作を朗読
ラジオ日本「わたしの図書室」では、6月5日と12日の2週に渡り、梶井基次郎の代表作「檸檬」と「Kの昇天」を紹介する。
31歳の若さでこの世を去り、わずか20あまりの作品を残しただけなのに、今も多くの文学ファンを魅了する梶井基次郎。今回、番組で紹介するのは、その代表的な2作品。満月をモチーフにした幻想的な小説「Kの昇天」。そして、不朽の名作「檸檬」。また、“もうひとつの「檸檬」”とも言うべき詩「秘やかな楽しみ」も紹介し、「檸檬」誕生に至る基次郎の作家としての足跡をたどる。朗読は日本テレビアナウンサー・井田由美。
【梶井基次郎はどんな人?】
梶井基次郎は1901年(明治34年)、大阪で生まれる。父親の転勤のため、基次郎は大阪の小学校、東京のキリスト教系の小学校、三重県の漁村の小学校と転校を繰り返した。京都の三高時代から小説を書き始め、東大英文科在学中の大正14年、同人雑誌「青空」を創刊。その巻頭を飾ったのが、処女作の「檸檬」だった。
【梶井基次郎の作家活動】
幼い頃から悩まされてきた肺の病により、梶井基次郎は、1932年(昭和7年)、31歳になったばかりの若さで亡くなった。「城のある町にて」「桜の樹の下には」「冬の日」など20あまりの作品は、親友だった三好達治らが奔走し、亡くなる10か月前にようやく一冊の本になって日の目を見た。その時点では、梶井基次郎の名は、文壇に花開く、一歩手前といったところだった。
【梶井基次郎作品の評価】
梶井基次郎の人生はいわば肺結核との闘いの日々であり、熱や喀血に見舞われながら生み出した作品は、身の回りのことを心のままに綴ったものが多く、ストーリー性や劇的展開には乏しい。しかし、不思議なほど人の心を捉え、特に戦後の一時期には文学青年たちから“崇拝”すらされる存在となった。川端康成、井伏鱒二、三島由紀夫、吉行淳之介らと、基次郎の世界を愛した作家は多い。
梶井基次郎の命日、3月24日は「檸檬忌」と名付けられ、大阪の菩提寺にある墓には、今も多くのファンがレモンを供えに来るという。生前、交流のあった作家・萩原朔太郎は、「梶井君がもし大成したら、晩年にはドストイエフスキイのような作家になったか知れない」とその早すぎる死を悼んでいる。
【放送内容】
夜11:30~12:00放送/朗読:日本テレビアナウンサー 井田由美
★6月 5日(木) 梶井基次郎作 「Kの昇天」
★6月12日(木) 梶井基次郎作 「檸檬」「秘やかな楽しみ」
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