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50代で「静かな退職」という言葉を知り、「今の自分の働き方と重なる」「このままのスタンスを続けていて大丈夫なのか」と不安を感じる方も少なくありません。
長年真面目に働いてきたからこそ、力を抜くことに罪悪感を覚えるのは自然なことです。結論からいえば、決められた仕事を果たしている限り、静かな退職はそれだけで責められる働き方ではありません。ただし、受け身のまま続けると、評価や立場に影響が出る場合があります。
この記事では、静かな退職の意味や50代に広がる背景、続けた先の末路、メリットとデメリット、今の自分にできることを解説します。焦らずに今後の働き方を考える材料になるので、ぜひ最後までご覧ください。
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静かな退職とは?

静かな退職は、近年急速に知られるようになった言葉です。この章では、意味とよく似た言葉との違い、50代で当てはまる人の割合を順に整理します。
静かな退職の意味
静かな退職とは、会社を辞めずに、決められた仕事だけを淡々とこなし、昇進や評価のための残業や頑張りはあえて控える働き方です。静かな退職は近年、日本国内でも40代・50代にまで広がっています。
もとは2022年ごろにアメリカのSNSで広まった「quiet quitting(クワイエット・クイッティング)」の訳語です。「仕事が人生のすべてではない」という考え方が背景にあります。あくまでも決められた範囲の仕事は果たしているため、単なるサボりとは異なる概念です。
サイレント退職・早期退職との違い
静かな退職は、会社に在籍し続ける点で早期退職とは異なります。サイレント退職は、静かな退職と同じ意味で使われる場合と、突然会社を辞める行動を指す場合があります。
| 静かな退職 | サイレント退職 | 早期退職 | |
|---|---|---|---|
| 意味 | 仕事への向き合い方だけを変える | 静かな退職と同義、または辞める意思を伝えずに突然職場を離れる | 定年より前に会社を辞める |
| 在籍・雇用関係 | 続く | 用語の使われ方による | 終わる |
早期退職では雇用関係が終わります。一方、静かな退職は、籍を置いたまま仕事への向き合い方を変えている状態です。サイレント退職は、使われている文脈を確認する必要があります。
50代で静かな退職をしている人はどのくらいいるのか
マイナビの調査では、静かな退職をしている50代は46.7%と、半数近くにのぼります。
同調査は2025年11月に、20~59歳の正社員3,000人へ行われました。年代別では20代の50.5%が最多で、50代は3番目に高く、40代の42.3%を上回っています。また、静かな退職をしている50代のうち、今後も続けたいと答えた人は76.7%で、全年代で最も高い結果でした。
50代が静かな退職を選択する背景にあるもの

50代が静かな退職を選ぶ背景には、さまざまな理由が考えられます。ここでは、代表的な3つの理由を順に見ていきます。
役職定年による立場・待遇の変化
役職定年で管理職を外れると、立場や待遇が変わり、仕事へのやりがいを感じにくくなる場合があります。役職定年とは、一定の年齢で部長や課長などの役職を外れる制度です。
人事院の2023年の調査(従業員50人以上の企業が対象)では、役職定年制度がある企業は16.7%で、年齢は55歳とする企業が最多です。部下を持つ立場から一般社員になり、任される責任や決められる範囲が小さくなることで、これ以上頑張っても仕方がないと感じる方もいます。
長年の頑張りが評価されない不満
頑張りが評価や昇給に結びつかない経験が続き、努力する意味を見失ってしまうことも一つの背景です。
マイナビの調査(2024年実績)では、静かな退職をしている50代の理由を4つのタイプに分けています。処遇や評価への不満が原因のタイプは25.7%で、仕事や環境が合わないタイプの33.1%に次いで2番目でした。
また、50代は40代と比較してより多くの人が「努力したが実らなかった」と回答しており、仕事への諦めが感じられるとされています。
体力・気力の低下と価値観の変化
体力や気力の衰えを感じ始めると、無理をしてまで働くことに疑問がわいてくることがあります。若いころは平気だった残業や休日の対応で、疲れが抜けにくくなったと感じる方も少なくありません。
疲れがたまると、小さなミスにも落ち込みやすくなる場合があります。そうした中で、定年までの残り年数を意識するうちに、仕事よりも健康や家族、自分の時間を大切にしたいと考えるようになるのは自然な流れです。負担を減らし、生活を守る手段として、静かな退職を選ぶ人もいます。
仕事でのミスのあとに強い不安が続くときの考え方は、以下の記事で解説しているのでご覧ください。
50代の静かな退職は何が悪いのか?理由と末路
静かな退職は、決められた仕事を果たしている限り、それだけで責められるものではありません。ただし、本人にも職場にも影響が出る場合があり、続け方によっては評価にも響きます。
悪いとされる理由と、続けた先に起こりうることを見ていきます。
静かな退職が「悪い」とされる理由
静かな退職が悪いとされるのは、本人の成長と職場の両面で、損失や負担が生じる可能性があるためです。最低限の仕事に留まると、新しい経験を積む機会が減り、昇進や昇給のチャンスも遠のくおそれがあります。
職場でも、追加業務やチームへの協力を控えることで、周囲に業務が偏り、負担を感じる人が出る場合があります。「自分だけが頑張っている」と感じて意欲を下げる人が出れば、チーム全体の雰囲気にも影響しかねません。本人は問題ないと考えていても、周囲の受け止め方は異なる場合があります。
現在のスタンスを続けた先に起こりうる末路
静かな退職を続けた先に起こりうるのは、評価の低下と、社内での居場所の変化です。ただし、「必ずそうなる」というわけではなく、職場の状況や働き方によって違いがある点には注意しましょう。
周囲からの評価が下がり社内での居場所を失う
最低限の業務だけを続けていると「やる気がない」と受け取られ、周囲からの評価が下がっていく可能性があります。評価が下がれば重要な仕事や異動の機会が回ってきにくくなり、昇進や昇給から遠ざかる場合があります。
成長の機会が減れば、任される仕事がさらに限られていく悪循環に陥りかねません。こうした変化は本人が気づかないまま進むことがあり、気づいたときには社内での役割や居場所が小さくなっている場合もあります。
最悪の場合はクビ(解雇)に至るリスクが伴う
決められた業務を果たしている限り、静かな退職だけを理由とした解雇は考えにくいです。労働契約法第16条は、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当でない解雇を無効と定めています。
ただし、業務命令に従わない状態が続くなど個別の事情があれば、懲戒処分を受けることもあり、その場合も同法第15条で理由の妥当性が問われます。不安があるときは、厚生労働省の総合労働相談コーナーで相談可能です。
50代が静かな退職を選択するメリットとデメリット
静かな退職には、仕事とプライベートのバランスを取りやすいメリットがある一方、意欲や職場の関係に響くデメリットもあります。ここでは静かな退職のメリットとデメリットを紹介するので、今後を考える際に役立ててください。
静かな退職のメリット
静かな退職のメリットは、仕事とプライベートのバランスを取りやすくなることです。残業や休日出勤を控えることで、時間と体力に余裕が生まれ、疲れをためにくくなる場合があります。
時間に余裕が出れば、家族や友人との交流、趣味、副業や学び直しなど、次の準備に回すことが可能です。決められた仕事に絞るため、業務量や内容が安定し、落ち着いて仕事を進めやすい面もあります。
業務量と給与が見合わないと感じている人にとっては、必要以上に頑張らないことで、納得感を持って働ける場合もあります。
静かな退職のデメリット
静かな退職のデメリットは、仕事への意欲がさらに下がりやすいことと、同僚との関係に影響が出る場合があることです。刺激の少ない状態が長引くと、やりがいを感じにくくなり、新しいことに挑戦する気持ちも薄れていく場合があります。
また、最低限の仕事だけを引き受けていると、同僚との協力の機会が減り、関係にひびが入ることもあります。仕事への違和感が積み重なって心身の調子を崩すこともあるため、つらさが続くときは、無理に続けず、環境を変えることも大切です。
心身の不調をきっかけに転職を考える場合の進め方は、こちらの記事で解説しています。
50代が静かな退職を続けるのは「甘え」なのか
静かな退職は、決められた仕事を果たしている限り、甘えとは言い切れません。しかし、自分で選んだ働き方か、流れで続けているだけかの違いによって、今後の見え方は変わります。
ここでは、甘えと感じる理由と、受け身で続けるリスクについて解説します。
静かな退職を「甘え」だと感じてしまう理由
静かな退職を甘えだと感じてしまうのは、真面目に働いてきた人ほど、力を抜くことに罪悪感を覚えやすいためです。「仕事は全力でやるもの」と考えてきた人は、頑張らない自分を許しにくい場合があります。
また、周囲が忙しそうに働く姿を見ると、「自分だけ楽をしているのではないか」と感じることもあります。しかし、決められた仕事を果たして体力や生活を守るために働き方を調整しているのであれば、甘えとは言い切れません。
大切なのは、他人の目ではなく、自分がどう働きたいのかを基準にすることです。
受け身のまま静かな退職を続けるリスク
甘えかどうかよりも気をつけたいのは、何も考えないまま、受け身で続けてしまうことです。
会社の人事や評価に任せきりになると、役割や仕事内容が変わっても、自分では選べなくなる場合があります。また、高年齢者雇用安定法の改正により、2021年4月から、70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務になりました。
働く期間が長くなる人もいるため、意欲の低い状態が長引くほど、負担を感じる場合もあります。
静かな退職を続けると決めた場合も、業務上の責任を果たせるよう、次の3点を意識しましょう。
- 担当業務と期限は守る
- 指示への対応と、報告・連絡は欠かさない
- 業務の範囲を上司とすり合わせておく
負担を抑えることと、必要な業務への対応を怠ることは異なります。担当範囲や優先順位に迷ったときは上司に確認し、業務命令に従わない状態にならないようにしましょう。
「甘え」ではなく「自分を守るための選択」と捉える視点もある
静かな退職は、甘えや逃げとしてだけでなく、自分を守るための選択と捉えることも可能です。過去に心身の不調を経験した人の中には、再び無理を重ねて追い込まれないように、あえて力を抜いて働いている人もいます。この場合は、意図して選んだ働き方といえます。
ただし、これはあくまで一つの考え方であり、受け身のまま放置すれば、会社の都合で立場が悪くなる可能性が残ります。大切なのは、甘えかどうかで自分を責めることではなく、今の働き方が意図的な選択なのか、考えるのをやめた現状維持なのかを見極めることです。
50代が静かな退職と向き合いながら今後の選択肢を広げる方法

静かな退職を続けながらでも、今後の選択肢は少しずつ広げられます。ここでは、その具体的な方法について解説します。
「このままではいけない」と焦って結論を出さない
静かな退職と向き合う際には、焦って結論を出さず、まずは今の自分の状態を整理する意識が大切です。「このままではいけない」という気持ちが強いときほど、転職や退職を急いでしまう傾向にあります。
しかし、何に疲れていて仕事のどこに不満があり、これからどう働きたいのかがはっきりしないままでは、納得のいく選択はできません。まずは職歴や仕事内容、毎月の生活費、避けたい働き方を紙に書き出して、頭の中を整理してみてください。
自分にできることはないか探してみる
今すぐ大きく動こうとするのではなく、自分にできることを探してみる姿勢も大切です。例えば、副業や学び直しなど、今の仕事以外の場で新しい経験を積む方法があります。ただし副業をする場合は、会社の就業規則で認められているかを先に確認しておきましょう。
学び直しでは、厚生労働省の教育訓練給付制度を使うと、対象の講座を修了した際に受講費用の一部が支給されます。受給には要件があるため、事前の確認が必要です。小さく試すことで、自分に合うものが見えてくる場合もあります。
※参考:厚生労働省|教育訓練給付金
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一人で抱え込まずに話せる相手を見つけておく
一人で抱え込まず、悩みの種類に応じて話せる相手を見つけておくと、考えを整理しやすくなるためおすすめです。相談先の使い分けの例は次のとおりです。
| 相談先 | 向いている相談 | ポイント |
|---|---|---|
| 家族 | 今の気持ちや悩み | 結論ではなく、今の状況から共有する |
| 会社の人事・上司 | 業務内容や勤務時間の調整 | 社内で変えられる範囲を確認できる |
| 第三者 (キャリア相談窓口など) | 将来や転職の迷い | 利害関係がなく、率直に話しやすい |
在職中でも厚生労働省のキャリア形成・リスキリング支援センターでは、無料でキャリア相談を受けられます。
※参考:厚生労働省 神奈川労働局|キャリア形成・リスキリング支援センターについて【訓練課】
転職を決めていなくても、職務経歴書を登録しておくと、企業やヘッドハンターからスカウトが届く場合があり、自分の市場価値を知るきっかけになります。ビズリーチは、一部の機能は有料プランの対象ですが、スタンダードステージであれば無料で利用できます。
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50代の静かな退職に関するQ&A
- 静かな退職は解雇(クビ)の理由になりますか?
-
決められた業務を果たしている限り静かな退職だけを理由とした解雇は考えにくいです。労働契約法第16条は、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当でない解雇を無効と定めています。
ただし、業務命令に従わない状態が続くなどの事情があれば、懲戒処分の対象になる場合もあります。不安があるときは、厚生労働省の総合労働相談コーナーで相談することも大切です。
- 退職勧奨を受けたら応じる必要はありますか?
-
退職勧奨に応じる義務はありません。退職勧奨は会社が退職を勧めるものであり、会社が一方的に契約を終わらせる解雇とは別ものです。承諾するかどうかは本人の自由で、承諾しない限り労働契約は続きます。
また、退職を強要する態様や、はっきり断っているのに繰り返し迫る場合は、違法になることがあります。判断に迷うときは、労働局などの労働相談窓口で相談するのも一つの方法です。
- 50代で静かな退職を続けるのは甘えなのでしょうか?
-
決められた仕事を果たしているのであれば、甘えとは言い切れません。真面目に働いてきた人ほど、力を抜くことに罪悪感を覚えやすく、甘えだと感じてしまう場合があります。
体力や生活を守るために働き方を調整している人もいるため、他人の目より、自分がどう働きたいかを基準にすることが大切です。ただし、何も考えずに受け身で続けると、会社の都合で立場が変わっても自分で選べる選択肢がなくなるおそれがあります。
- 静かな退職を続ける50代が退職を考える際の貯蓄目安は?
-
貯蓄の目安に一律の金額はなく、生活費や年金、退職金によって必要な額は変わります。以下のような情報を確認していけば、自分に必要な貯蓄額を出しやすくなります。
ステップ
確認すること
見る資料
1.支出
毎月の生活費
総務省の家計調査、自分の家計簿
2.年金
受け取れる年金の見込額
ねんきん定期便
3.退職金
退職金の有無と金額
就業規則、退職金規程
50代のねんきん定期便では、現在の年金加入制度に60歳まで加入し続けた場合の見込額を確認できます。退職後に加入状況が変わる場合は、ねんきんネットなどで条件を変えて試算しましょう。また、退職金は法律上の義務ではなく会社ごとに異なるため、就業規則や退職金規程で確認します。
上記の情報をもとに、退職から年金受給開始までの生活費と、受給開始後の収支の不足額を見積もり、退職金や現在の貯蓄で補えるか確認してみてください。
※参考:総務省統計局|家計調査
静かな退職と向き合う50代は焦らず自分にできることを考えよう
静かな退職は、決められた仕事を果たしている限り、それだけで責められるものではありません。ただ、何も考えずに受け身で続けると、評価や立場に影響が出る場合があります。
まずは、何に疲れ、これからどう働きたいのかを整理し、副業や学び直しなど、小さく試せることから始めてみましょう。一人で抱え込まず、話せる相手を見つけておくことも大切です。焦って結論を出さず、自分に合った働き方を考えてみてください。
今の働き方を見直す材料として、ビズリーチで自分の市場価値を確認してみる方法もあります。