ラジオ日本「わたしの図書室」では11月14日と21日の2週にわたり、盲目の箏奏者にして作曲家の宮城道雄の最初の随筆集『雨の念仏』を朗読する。もはや伝説的ともいえる箏の名手が、友人の作家・内田百閒の勧めにより、口述筆記でしたためた珠玉の名文集を、日本テレビアナウンサーの井田由美が朗読する。
移り行く季節感や日常でのちょっとした出来事。また、友人たちとのユーモラスな交流、家族とのごく当たり前の生活、そして、音楽に対する鋭い感性。すべてが、すっと心に染み入る文章の中に描かれていく。
幼くして視力を失った宮城道雄は、音だけの世界からこんなにも敏感に、豊かに“世の中”を感じ取っていたのかと驚かずにはいられない。
番組では、表題作「雨の念仏」をはじめとし、東京音楽学校・教授時代のエピソードを描いた「純粋の声」、盲人だからこそ起きた「勘違い」、竿竹屋、豆腐屋など町に響く「物売の声」、そして、宮城道雄の名を世界に広めた名曲「春の海」など10章を、宮城道雄の名演奏とともに紹介する。
【放送日時】
11月14日(木) 21日(木) 夜11:30~12:00
朗読:日本テレビアナウンサー 井田由美
【宮城道雄】
1894年(明治27年)に神戸に生まれた宮城道雄は、目の病で幼くして失明したことをきっかけに、8歳のとき箏の名門・生田流に入門する。11歳で免許皆伝を受け、14歳にして早くも処女作「水の変態」を作曲。22歳の時には、この道の最高位である大検校となる。その後、箏の演奏家、作曲家として世界的に活躍するが、1956年(昭和31年)、演奏旅行の途中で誤って列車から転落し、その62年の生涯を閉じた。繊細で華麗な名曲・名演奏「春の海」や「さくら変奏曲」は広く親しまれている。
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